お世話になった皆様へ

 ここ数年、励ましてくれたり心配してくれたりした皆様へ、まずはご報告です。
 先日、父が亡くなりました。
 
 これからまた色々と気ぜわしい……はずなのですが、さしあたってあまり何もないんですよね。
 手続き関連は今までその辺をやってた母が引き継いでいるし、葬儀関連は知り合いに既に手配済みだった伯父がやっているし。
 「俺がやれることは俺に任せてくれ」と言ってはいるものの、みんな俺よりそのジャンルでずっと有能なものだから、足手まといなので割りと家にいます。
 
 というか、目下のもう一つの問題は、家をあけるときにねこをどうするかという問題なので、俺はその点に集中して腐心している感じ。
 快方に向かっている気がします。これからねこも留守番が増えるかもなので、一緒にいれるときはなるべく一緒にいて、かわいがってる。
 あと俺が出来ることといえば、母へのケアぐらい。父が亡くなったことについてはお互いあまり悲壮感もないのだけど、母はこういう時に割りとアワアワしちゃう人なので、適当に冗談を飛ばしたり前向きなことを言って、元気づけるのが俺の役目。
 ねこといい母といい、家族元気づけ係か俺は。そういうの末っ子とかがやるやつだろ。長男一人っ子なのに。
 
 昼前に病院から「そろそろ危険なので来ていただけますか」と呼びだされ、ねこの相手を最低限して、家を出て。
 到着したのが昼の1時で、そこから5時まで徐々に体調が悪く→一旦持ち直すという流れになり、「また持ち直してるのこの人!??」と母と笑い合い。
 看護師さんなどと相談したら、多少は離席しても大丈夫そうとのことなので、「一度帰ってねこのトイレだけ掃除して戻ってくるわ。二時間待ってて」とその場を離れて駅に向かう。
 ところが途中で電話がかかってきて、「やっぱり戻ってきたほうが良いみたい」と。連絡があと数分遅かったら電車に乗っているところだった。
 で、戻ってみたらそこからものの数分で、心拍が止まり始めた。
 
 今の病院に転院してからは、ほとんど寝てるだけで意識があるのかないのかもわからず、しゃべることも出来ず、酸素吸入器で呼吸だけをしている様子だった父。
 この日も一切反応なしだったんですが、心拍が止まりだしたので家族で囲んで「よく頑張ったな父ちゃん。もう休もうぜ。辛かっただろ」と話しかけたら、こっちを見てゆっくりと口を開け閉めした。
 「もう心拍止まってるのにこの状態で意識が戻ったのか。本当にそんなことあるもんなんだな……」と驚いている俺の前で、ゆっくり目を閉じ、永眠しました。
 
 しばらくは母と手分けして色々と手続きなどをして、それから仕事とかもやっていこうと思います。
 何年も家族みんな大変だったので、今は悲壮感よりも、ホッとした気持ちが強いですね。
 でも、こういうふうにホッとして家で日記などを書いていられる余裕が有るのは、冒頭でも書いた「励ましてくれたり心配してくれたりしたみんな」のおかげなので、みんなには感謝しています。
 みなさんありがとう。おかげでなんとかやっていけそうです。
 
 ご報告をすでにしておいた親しい人からは、「これからまたお忙しいでしょうが」と気遣いの言葉をもらったのですが、うちの親族の知恵袋であるところの超有能な伯父さんがいまして、この人が葬儀関連を一手に引き受けてくれまして。
 知り合いの葬儀屋さんを紹介してくれて、あっという間に通夜も葬儀も火葬も終えました。
 しかもこの伯父さん、読経もできるものだから、各所で何度もお坊さんの代役を務めていまして。お骨を持って帰った実家で伯父さんに経を上げてもらい、「最近は初七日や四十九日も親族が集まった時にまとめて繰り上げでやっちゃうことが多いんだよ」と、そちらもいっぺんにやってもらってしまった。
 父は交友関係もほぼ全く無い人で、親族も俺と母以外は殆ど残ってないから、これから先連絡する宛も全然ない。役所での手続きを進めていく以外に、やることだいたいなくなりました。墓所とかは探さないとダメですけどね。
 
 葬儀屋さんから斎場で、「故人が亡くなる前にお互いに心残りがあったかないか、どう言う過ごし方をしたかで、家族の受け止め方は変わってきますよね。皆さんそうです」という話を聞きました。
 家族に残されたやることとしては、故人を偲ぶことがまだ残っているような気もしますが、本当にこの数年たっぷりと別れは済ませたので、そういう意味でのやることもあまり無い感じです。
 結局、家族に囲まれて苦しまずに大往生だったしね。
 
 とはいえあまりの悲壮感の無さから、隣で火葬をしている人たちの嗚咽や号泣も漏れ聞こえている斎場で、うっかり大笑いをしたのは良くなかったと思います。
 喪服のコートのポケットに手を入れたら、全く記憶に無いポケットティッシュが出てきて、それがよりによって『笑笑』だったんですよ。
 「このタイミングで『笑笑』って!!」とツッコミを入れながら思わず吹いた俺の声が斎場に響き渡って、恥ずかしかった。
 というかその後も集まった親族同士で、故人エピソード(父や祖父やその他諸々)で笑ってばかりで、うちはどうもこういう傾向なので、斎場でも場違い感ありましたね。
 伯父さんにも「うちの親族の葬儀はだいたいこうだから覚えとけよ」って言われた。知ってる。不謹慎とかの前にまず笑うんだよな、うちの人ら。