腐った妄想に現実を突きつける

 男の子キャラ同士、もしくは現実の男の子同士を脳内でイチャイチャさせて楽しむ、カップリング妄想って言うのがあるじゃないですか。
 あの独特のかわいさとほんわかした感じ、わたしは結構好きです。
 キスしちゃったり裸にひんむいちゃったり、引いてはアレしちゃったりするところまで行くとまた話が違ってくるのですが、なんとなく仲良し、なんとなくイチャイチャ、なんとなくキャッキャウフフな関係性のマンガとかは大好きです。
 アニパロって言うんですかね。そういうのでありがちな。バトルマンガの男の子たちの日常パートを描いたみたいなの。
 でも、あれって基本的に需要を支えているのは女子ですよね。男性はあまり好まないと思います。男性があの世界観に入っていけないのは、「実際の男同士は仲良くてもそんな関係にならねーよ」っていうのが第一にあるんでしょうね。
 確かに男同士の仲良しって言うのは、関係性としては恋人よりも上のような密接なものになることも多いですが、決して恋人のような仲の良さになることはない。仲のいい女の子同士が手をつないでいるのは見たことがあっても、仲のいい男の子同士が手をつないでいるのは見たことがないし、それをしたら最後、それはもう友達同士に見えないのです。
 軽い一時的接触を男子が好まないのは、単純に女子よりも汗臭いとか汚いとか固いとかの理由で、くっついても楽しくないからなんじゃないですかね。でも、二次元ならそんなこと関係ないからくっついちゃうし、ジャニーズとかの男の子は需要に応じて肌をくっつけあった写真を撮影する。そうして作られた男子カップリングと現実の男同士の関係性とが、世間では更に剥離していくわけです。
 例えばわたしは、6〜7年ほど前に男友達と同居していたことがありましたが、共通の友達が来て遊ぶとき以外はほとんどコミュニケーションもなかったし、2年暮らしていて体のどこかが触れ合うことも一度もありませんでした。
 今日は節分ですね。男友達と同居していたときの節分の夜を、ふと思い出しました。
 バイト帰りにわたしは近所のスーパーに寄って、余っていた恵方巻きと、節分の豆を買いました。
 家に帰ったら当時飼っていたハムスターに歳の数だけ福豆を与えて、ほお袋に豆を詰める様子を見て楽しんでから、隣の部屋にいる男友達の部屋をノック。「ねーちょっとー」「何?」「福は内ー。ばらばらー」「お前何すんだ」「逃げろ!」と数粒豆を放り投げて、自室に帰還。
 その後、家から見て恵方がどこかわからなかったので、恵方巻きをくわえたままその場でくるくる回って、全方位を意識しながら一本食べきりました。
 ……なんか思い返してみるとこの感じ、妄想カップリングっぽいな。ちっげーんだよ、オレはそういうつもりじゃなくってだな、コイツが勝手に!(以下火に油を注ぐためのテンプレ言い訳割愛)