あなたが使わない分だけ使っている人もいる

 関東各地域に順番にめぐってくる輪番停電と、節電推奨が促される様子を見ていると、思い出します。
 友達とルームシェアして二人暮しをしていた頃、家賃及び電気代やガス代の光熱費などは、全て折半でした。
 その頃から貧乏節約生活が身に染み付いていたわたしは、電気やガスの使用量を抑え、未使用のコンセントは抜き、入浴は通年シャワー、暑い夏はうちわで乗り切り寒い冬は服を着込んで過ごしました。
 それに比べて友人の方は、まったくそういったことは気にしないほうです。使っていなくても一日中パソコンはつけっぱなし、ヤカンでお湯を沸かせば湯が沸いてもいつまでも火にかけたまま放置、ちょくちょく風呂に湯を溜めて時には溢れさせる始末と、わたしから見れば無駄遣いの目立つ暮らしでした。
 あまりに目に余ったときは、数回ほど「使用量の違いで多少は光熱費の負担を変えてもいいんじゃない?」と言ったこともあります。
 しかし概ね生活費は折半でした。
 
 そんな生活の中で、わたしはやっぱり貧乏生活を続けていたかったので、いつまでも同じように節約を続けました。
 節約をやめて相手と同じように暮らして、光熱費の負担の割合と生活における電気やガスの使用割合を、同列にそろえていくことも出来たとは思います。払っている金の分だけは、使える暮らしに。
 でもそれをやると、お互いが使った分、余計に払う金額が増えてしまうので、やめました。
 相手が使っている分、こちらはより使わないようにしていました。負担割合に不公平はありますが、それでも最終的に払うお金が少なくなるように調整していました。
 
 今、節電を要求されている状況も、こんな感じなんじゃないかなと思うことがあります。
 片っ端からコンセントを抜いて、真っ暗な部屋で過ごし、寒くても暖房も入れないで暮らしている人。
 かたや、「節電とか言われても面倒くさい」「停電のときに使えなかった分電気が使える時間は使いまくる」と言う人もいるでしょう。
 東京電力の対応や隠蔽体質の報道を見て、「こんなやつらのせいで節電しなくちゃいけないなんてやってられるか」と節電に非協力的な人もいるかもしれません。
 被災地の為に我慢しているわけでもないのだし。福島原発の電気は関東の電気ですから、ここで自重しないで電気を使いまくっても、締まるのは自分の首です。
 でも、電気の使用量が限界を超えて、大規模停電が起きたら、病院なんかで大変なことが起きちゃいますよね。交通にも経済にも大きな影響が出そうです。
 
 こういった状況で、どこまで節電するのか、どういう意図で節電するのか、他人の負担をどこまで自分が負うのか、負担を減らすためにはどうすればいいのか。
 夏に向けて、各自考えて、足並みをそろえて行きたいものです。夏は冷房の需要がはるかに上がりますし、冷房を使わず熱中症で亡くなる方もいます。夏は難関です。
 ネット上ではヤシマ作戦を初めとして節電の動きがありますが、やっぱり節電を無視している家や個人や商店も、たくさんあるはずです。どうしたらいいのでしょうか。使いすぎてしまう人、使わざるを得ない人もいるかもしれない。
 停電・節電。新たな電力の供給方法。関東から人を減らす疎開。電気以外のライフラインの利用方法。
 効率のいい道は、あるんでしょうかね。
 わたしに出せる答えは、「みんなで考えることが解決策のひとつです」ということだけです。考えて、意見を出し合いたいですね。