どがし家電!

 あのときに話しかけた店員が、背丈が180センチ以上はありそうな大柄の店員だったときから、なんとなく嫌な予感はしていました。


 買い物に出かけました。
 出かける前に髭を剃ろうと思ったら、僕の電動髭剃りのカミソリ部分に、べっとりと油まみれの白菜がついていました。
 これはきのうの夜食べた炒め物の白菜だ!
 残飯を拭い取っても髭剃りはテカリを失うことなく、こんなものをアゴに押し当てたら、ぬめるわ美味しそうな臭いがするわで大変です。僕は髭を剃るのをあきらめて出かけました。
 目的地の駅に着くと、今日はそこかしこでなんだか電動髭剃りのフェアーをやっています。駅の近くの広場、家電量販店の入り口、同じく家電量販店の中。
 コンパニオン風のお姉さんが、男性の肌年齢を診断してくれるそうです。
 面白そうなので診断して欲しかったのですが、先に用事を済ませたかったので、まずは買い物を優先。家電量販店の目的のフロアへ。
 こたつの小さなやつを物色していると、そのこたつにこんな張り紙が。『本日こたつ値引き中! お持ち帰りいただけると更に1000円引き!』確かに全体的に500〜1000円ぐらい安くなっていて、その上自分で持ち帰れば更に1000円安くなるとな。
 もちろん自分で持ち帰るんだから、配送料もかからない。お得三昧!
 しかしひとつ気になったことがあったんで、その辺にいた大柄な店員さんを呼び止めて、ちょっと聞いてみたんですよ。


「あのー、これって持ち帰ると安くなるって書いてありますけど、大体どれぐらいの重量ですかね。普通に持ち帰れるぐらいの重さですか?」
「あ、じゃあちょっと持ってきますよ」
(しばらく待つと、小さなこたつを軽々と持ってくる店員さん)
「大体コレぐらいです」
「あー、やっぱりたいした大きさじゃないですね」
「そうですね、大人の男性なら普通に持ち帰れるぐらいの重さだと思いますよ」


 というわけでこたつを購入し、自力で持ち帰ることを選択したのですが、そして皆さんは上記の死亡フラグにお気づきでありましょうが、その時点では自分はまだ気づいていなかったのです。
 こたつ重いじゃないか!
 自分は成人男子並みの筋力も体力も持ち合わせていないじゃないか!


 この荷物を持って肌年齢チェックや髭剃りレクチャーを受けていられる余裕はなくなったので、寒空にちょっと不似合いな白ニーソコンパニオンお姉さんを目で追いながら、僕はひいこら帰宅しました。
 腕がへろへろです。これを書くのも微妙におぼつかない。ふひー。