そう甘くない

 バレンタイン近辺からモテてモテてモテ過ぎて涙が止まりません……かふん! くしゃみと鼻水も止まりません。
 「花粉症とは種の壁を越えて植物が人間に生殖を行おうと働きかけるものである」と別役実が書いていたのを読んでから、僕は花粉症の時期は植物にモテているのだと解釈するようにしています。バレンタインチョコはもらえなくても、花粉的にはだいぶプレゼントをいただいているのでプラマイゼロです。鼻をかむティッシュの消費が尋常じゃない分マイナスが多い気もします。


 バレンタインもだいぶ過ぎたのに今更チョコ話を掘り下げるのもなんですが、作家さんってよくバレンタインにチョコレートをもらいますよね。本人だけじゃなくて、その人が書く話のキャラクター宛てに。
 子供のころは「あのチョコってキャラに食べさせるわけにも行かないし、どう消費してるんだろう」と疑問に思っていた僕ですが、いまなら作家さんが普通に食ってたり誰かにおすそ分けしたりしているのも容易に想像できます。下手すると作家さんの彼女に食わせているパターンもあるかもしれません。この場合どこにどう嫉妬したらいいものか。
 僕も創作者のはしくれですから、チョコをむしゃむしゃ食べたければストーリーの中に女子にモテそうなキャラクターを散りばめてお話を発表すればいいんですよね。そうすれば自分のモテ力(もてかじゃないよ)はせいぜい花粉にしか発揮されなくても、キャラクターのかっこよさでチョコ貢がれ放題!
 しかも僕ならそうしたチョコを消費するために、キャラになりきって食べます。快活なキャラなら「え、オレが食べて良いの? やったー、ありがとうな!」って食べるし、クールなキャラなら「フン……くだらないな。しかしチョコには罪はない、いただいておこう」って食べるし、食いしん坊キャラなら「いまボクちんが食べてるハンバーガー食べ終わったらおやつにいただくねフヒヒ」って食べます。