雨天結構6

「雨の中、玄関先で来客を待たせるのはどうかと思いますよ。失礼ですが上がらせていただきます」
「え」
 女の子は僕の家に上がりこんだ。正確に言うなら、上がりこもうとして玄関で、なんだかすごく脱ぎにくそうなややこしい作りのロングブーツを脱ぎ始めた。
「雨で裾が濡れてしまう危険を考えて、スカートをロングにしなかったのは、本当に正解だったと思います」
 そう言いながら女の子は、まだロングブーツを脱ごうとしている。紐が何重にも重なって、しまったりたわんだりしてデザインを形作っているらしく、それを脱ぐのはとても難解な入れ子細工を解くのと同じような集中力が必要そうに僕には見えた。


「ケロケロ」
 その鳴き声で、初めて僕らは気がついた。タッパーウェアをこじ開けて、カエルが肉じゃがをうまそうに食べている。この子がロングブーツを脱ぐ間、タッパーを床に置いていたその隙に、カエルが肉じゃがを横取りしやがったのだ。
「あっ、こら。それ、そこそこうまいのに!」
 このセリフを僕と彼女が同時に言ったことに、少し驚く。
 どうやら今日の肉じゃがは、この子にとっては、そこそこうまい逸品らしい。
 とにかく僕は、腹が減っていた。カエルを蹴っ飛ばした。肉じゃがが一緒に宙を舞った。


 漫画化するまで続く。


 なんとビックリ梅雨明けまで続いていた連作雨天結構が、とべないぼうしの手で漫画化する予定。
 コラボレーションサークル・ナニスルケレドの新たな活動。漫画作成をとべないぼうしとスルケレド。
 モグラが、タップ男が、肉じゃが女が、どんな形に描かれることか。
 小説雨天結構自体も同時に完結する予定。
 冬コミとかで同人誌になる予定。
 何もかもが予定なので、いつ訪れるかわからない続報をお待ちください。