悲喜こもごも

 昼間、家の外から若い女性二人の声が長時間にわたって響く。
「すごーい」
「わー、すごいねー」
「あらー、そんなことも出来るのねー」
「わー」
「「すーごいねーーー」」(ユニゾン
 人のあたたかい言葉に励まされたり喜ばされたりと言った内容の日記を昨日書いたところでこんな声が延々1時間ほど続いたので、自分の願望が生み出した幻聴か何かじゃないのか、それとも若い女性がひきこもり気味の男を激励して仕事の効率を上げさせるニュービジネスの実験台か、と思いましたが、どうやら子連れで子供が何かするたびに褒め称えてただけだったみたいです。
 でもさ、ウチの前って普通に道路で、近隣住宅のゴミ捨て場とかあるんだけど。
 そんな場所で1時間近くも子供を褒め称え続ける母親二人の姿を想像すると何か怖かったので、本当にそこに子供なんかいるのかどうか疑わしかったので、よくよく聞いて見ると子供の声だけがまったく聞こえないので、一度も様子を見ることはなく僕は更に引きこもることにしました。