日本語ラップ

 食品ラップを使うたびに思うんですけど、あの至れり尽くせりなサービス精神はどういうことだ。
 たとえばサランラップ
 こちらはクレラップ
 ラップを使いやすくするための工夫が次々に詰め込まれて、全力でラップの巻き戻りや飛び出しを防いでくれています。
 この工夫、当初はひとつぐらいで「こんなにラップは便利になりましたよ!」と宣伝していましたが、いまやサランラップは工夫ポイントが6つ、クレラップに至っては8つもの工夫ポイントがあるんですよ。
 「工夫するに越したことはない」ってミスター味っ子で陽一君が言ってたけど、それにしたってがんばりすぎだ。
 杉下右京も「真実を追究するに当たって『もうこの辺でいい』と言うことはありません」って言ってたけど。そしてその追求が行き過ぎて周囲に思いっきり煙たがられてる話を今週やってたけど。
 ラップ業界はやりすぎて煙たがられることはないのだろうか。
 この工夫と便利の追求がとめどない感じ、日本のトイレの発展とダブるところがありませんか。諸外国から見たら日本の食品ラップ頭おかしく映るんじゃないだろうか。気を使いすぎで。
 ラップの巻き戻り等をどうにかする為の工夫が発端だったはずなのに、ついには「女性や子供の手でも握りやすくしました!」とかこちらが思っても見なかった方向まで工夫の手が伸びてるし。
 最終的には「ラップが必要ないラップになりました!」とかに至るんだろうな。もうラップとかないから巻き戻りとか心配する必要もないの。買う必要もないの。概念としてのラップという最大の工夫。
 戦わずして勝つ無住心剣流とか、ベルモットの瓶眺めながらジン飲んでマティーニと言い張るとかのあの線。
 
 しっかしここまで気を使ってラップを使いやすくしてくれてるのに、これらの工夫を一切無視するかのように、ラップを変な破りかたしてへばりつかせるとかいまだにさせる人もいるわけで、そういう人たちにも驚きを感じますね。
 うちの母とか。
 さっきの自分とか。
 ……買って開けたばかりのラップがね、使って一発目で変なところでちぎれてへばりついちゃって……巻き戻りストッパーを押しのけてラップを本体から取り出して、セロテープでぺたぺたやって元に戻したよ……。
 あれ巻き戻りストッパーってさ、いざラップを引っこ抜くときには邪魔だな。うん、邪魔だ。