きみを気にしてる

 ご存じの方もいるかもしれませんが、わたしの古くからの友人であるとべないぼうしhttp://www.pixiv.net/member.php?id=19980が婚約しました。近々結婚するそうです。
 せっかくなのでお祝いしようと思っていたものの、最近彼も仕事が忙しくてなかなか会えない。ましてや結婚して住む新居の準備をしたり、貴重な休日は体を休めるか彼女とデートにあてるのが常で……と言った状況で、会う機会が持てなかったんですよ。
 そんな3月末の土曜日、二日酔いで寝ていたわたしのもとにモーニングコール。おや珍しい、ぼうしから電話だ。「今日急に仕事休みになったんだけど、空いてる?」「うー今日は仕事する予定の日だわ空いてないー」そう、残念ながらこの日は仕事の予定がいっぱいで、既にTRPGセッションと落語家さんの独演会という、二つのお誘いをお断りしていた日だったのです。
 でまあ、二日酔いも辛いからもう一度寝るじゃないですか。で、起きたら仕事の打ち合わせの予定がなくなって、急ぎの書き物も急がなくて良くなって。
 ぼうしに電話して「こういう事態になったんだけど、せっかくだから今から会いに行くよ」「おう来い!」ということで結局夕方から小田原旅行に行くことになったのです。
 
 折しもこの日は非常に寒く、到着するなり「せっかくだから花見でもしようか」と言ってぼうしに車を出させたものの、花見会場にも誰もいない。桜はいっぱい咲いてた。
 寒がりながら人気のない桜を通り過ぎ、寒がりながら人気のないぼうしの新居を通り過ぎ、後はホルモン屋で乾杯。
 奥さんになる女性にも会いたかったんですが、あちらも友人と会ってるということで会うことも出来ず。
 おい待てよどうなってんだ、とべないぼうしの長年の恋人であるわたしを差し置いて結婚するなど言っておきながら、挨拶もないとはけしからん!
 酒を飲みながら声を荒げても「俺明日デートなんだよね」のノロケぼうしにはかなわず、ホルモン代を結婚祝いとして店を後にしました。
 
 その後、お姉ちゃんのいるお店にぐいぐい引っ張っていくぼうしに連れられたり、ぼうしがトイレで戻したり、ぼうしにバーに連れて行かれたり、「明日デートなら帰れ末永くばくはつしろ!」と深夜に追い返したり。
 バーテンダーの女性が自分だけにハートマークの容器でお通しくれたので、「これはつまりわたしに気があるってことですよねやったあ」とか絡んで、終電なくなったからそんなふうにちょっかいだして朝を待とうと思ったら女性バーテンダーさん帰っちゃって。
 仕方ないので漫画喫茶でスティール・ボール・ラン読んで過ごしました。これ前に漫画喫茶で過ごした時もこういう過ごし方したな。
 何冊か読んで気づいたけど、前読んだ時と同じ巻読んでたし。サウンドマンの辺りで始発が走りはじめたので帰宅。
 寝て起きて新たな二日酔いを背負いながら、延期になった打ち合わせに出かけました。
「今日の飯は焼肉にします?」
「焼肉はちょっと……ごめんなさ……うっぷ」
 
 とべないぼうしとは、彼が詩とイラストのサイトをやっていたときに知り合い、誘われてサイトの共同管理人になり、そこで得た縁から自分は音楽活動を始め、CDのジャケットをぼうしに描いてもらったり、朝まで飲んだり笑わせたり慰められたり励まされたり叱ったり叱られたり……。
 そんな大事な奴なので、幸せになってほしいと思います。心から、お幸せに。