第十六回TORGオンリーコンプレイレポ

 面白いことを言って人を楽しませたいけど、自分が面白いことを言っている間は、他の人の言う面白いことが聞けなくなるので、面白いことを言うのは難しいなあ。
 ほら、全力で攻めに回るとそれはそれで楽しいけど、少し自分の中での受けの面も残しておかないと、相手の攻めっけをうまく受け止めて楽しめないじゃないですか……。
 何の話だったっけ。エロい話だったっけ。
 
 思い出した、TORGオンリーコンに行ってきました。記憶だよりのプレイレポを書いておきます。
 細かい間違いや活躍シーンの欠如は、この脳のスペックの問題なので申し訳ないです。
 
 朝、駅前で会場までのルート案内をしているオンリーコンスタッフに声をかけ、「あ、じゃあ自分、トイレ行きたいし、何回か行ってて会場の場所もわかるんで、先に行きますね」と一人で会場に向かう。
 早速道に迷う。
 自力で正解ルートを探しだして会場への道に近づいていくも、着かない。
 『いたばし観光センター』というのを見かけたので中に入って道を教えてもらい、もらった地図を片手に迷いながら会場へ(※年に数回、何度も足を運んでいる会場です)。
 会場を目前にして、本当にドンピシャのタイミングで曲がり角から現れる、駅前で会場案内してたスタッフの人。
 
「別れて迷った挙句、今こうしてぶつかったんですけど、どう考えても最初から一緒に会場に行けばよかったですね!?」
「そうですねww あ、ここが会場です」
「知ってるよ! ここまで案内してきた風にするなよww」
 
 そんな経緯を経て、会場到着。
 開会式を終え、GM紹介も終え、順調に卓分けへと移ります。
 ちなみに今年のGM紹介ナンバーワンは、スーツに狼の面をかぶって、ハイテク大好き狼男のスクサーカになりきり、プロジェクターを使用してプレゼンをやった人。
 プレゼン内容とプロジェクターの画像の切り替わりが全然あってない辺り、ハイテクを使いこなせてないスクサーカっぽくて、すごく良かったです。
 
 わたしは暗転丸さんの「テーマは王道復古。ベタで、コテコテで、それでいて一筋縄では行かない、ごく普通のヒーローの任務を果たしていただきます」という卓に入りました。
 卓紹介はこちらの中ほど。
http://www.venus.dti.ne.jp/~hibiki/torg_conv/16th_intro.html
 
 十数年に及ぶTRPGニアミスを繰り返し、昨年のオンリーコンでやっと再会するも結局同じ卓に入れなかった人と、今年はめでたく同じ卓に!
 しかも、こちらも長年「いつか一緒に遊びたいですねー」とお話していた、しゃあみさんとも同じ卓。
 「これは下手な真似はできないなあ」ということで、シナリオの説明を受けつつGMに「こういうキャラをやりたいんだけどいいでしょうか」と聞いて、「いいよー」と許可をとって。
 かっこいいレスラーキャラをやりたかったんですが、いろいろあってだいぶややこしいキャラにはなりました。
 
<PC紹介>
●『地球のリポーター』 ドミニク・イェーグ
 31歳男性。190センチ超えのスキンヘッドの黒人。
 べらべら喋って誰とでも打ち解ける、面白黒人枠。
 説得技能が高い(PCもそうだけど、プレイヤーさんも高そうだった)ので、メンバーの交渉役でもあります。
 でかいけどな。
 
●『火士ハッカー』 牧野芹奈
 25歳女性。こじんまりとしているけれど、意志の強そうなOL風。
 ニッポンで政府に敵対している、ハッカー組織の人間なれど、今回はコンピューター系の技能の使用機会は少なめ。
 とはいえ、やはりこちらも交渉は巧み。口先だけではない実益のある商談を進める、裏の交渉役。
 
●『バーバリアン戦士』 マキシミリアン
 26歳男性。ファンタジー世界からやってきた、剣を片手に戦うコナンっぽい人。
 先ほどの牧野と夫婦ということで、なんだか複雑な事情の有りそうなご家庭だなこの人達。
 そして身長180センチ超え。バーバリアンだもんね。でかい。
 
●『ストリート・パンク』 アンヌマリー・クロステル
 18歳女性。サイバー教皇領の裏町に住む、危険なパンク女。
 通称『安全ピンのマリー』。鼻に安全ピンを刺して、髪はオレンジのモヒカン、身長は180センチ超え。
 なんだこいつ女だけどでかい! 見た目も怖い!
 
●『ジャングルの王者』 ロザリオマスク
 年齢不詳のマスクマン。わたしのPCです。
 ジャングルでゴリラに育てられたが、ある時神の教えに目覚め、自分のような不幸な孤児がこれ以上生まれないようにと、マスクを被ってプロレス興行に勤しみ孤児院に送金する。
 ぱっつんぱっつんの神父服に、キリスト像を額に掲げたマスクを被っています。トラのマスクじゃないです。
 そして身長2メーター超えで体重も150キロぐらいある。
 
「PCみんなでかくないですか!?」
「牧野だけ縮こまってそうだなこれ」
「エクスペンダブルズみたいだww」
 
<シナリオ導入>
 こんなメンツが何故集まったのかというと、原始世界と化してしまったアメリカで、森の奥に取り残された5万人の住民をどうにかして助け出すための、独立チームが欲しかったからです。
 アメリカ臨時政府は米軍を動かして、この一帯を元のアメリカに戻そうとしている。
 だが避難民たちはどうすればいいのか。彼らを助けだす方法は? というのを試行錯誤するのが我々の役割。
 そしてここで、わたしが出していたサイドストーリー・カード『人物誤認』に対して、GMサイドから働きかけが発動。
 
「このリビングランドで偉業を起こしたジャングルの王者、アーネストという人物がいるんだが……。ロザリオマスク、どうやら君はアーネストではないようだな」
「はて、ジャングルの王者……? 何のことかな」
「ただのレスラーには用はなかったのだが、君もストームナイトの一員だ。役に立つかもしれん、チームに同行してくれたまえ」
「うむ!」
 
 これで『人物誤認』カードの効果はもう終わったかとおもいきや。
 このGMの働きかけをきっかけに、シナリオはとんでもないことになっていくのである!
 
「ところでロザリオマスクって、なんで自分がジャングルの王者だってことを隠して、マスクマンやってるの?」
「わたしのファンの子どもたちの、夢が壊れるだろう。あのロザリオマスクが、ゴリラに育てられたなどと、知ったらな……!」
「いやむしろ納得するんじゃねーかな」
 
<シナリオ中盤>
 霧に包まれた深い森、リビングランドへとトラックで向かう、我々Aチーム(Aチームじゃない)。
 この地を離れず、森にとどまることを選んだ人で作られた自遊人村で、PCは各自別れて行動を開始します。
 リポーターのドミニクとバーバリアン戦士のマキシムは、村の住民の話を聞きに。
 牧野と『安全ピンのマリー』は、チームに同行しているFBI捜査官の動向を探りに。
 ロザリオマスクは村の周囲の森を警戒に向かった。
 
 面白黒人枠ドミニクは、その軽口で村人の警戒を解き、彼らが希望を失いつつあることを突き止めます。
 
「俺達を救ってくれたジャングルの王者、アーネストは死んだって聞いたんだ」
「なーにを言ってるんだ兄弟、アーネストはまだピンピンしてるぜ?」
 
 その嘘を補完するために、『緊急行動』カードを使ってその場に後ろ姿だけを表す、ロザリオマスク。
 先ほど発動した『人物誤認』カードももちろん効果を発揮だ!
 
「ほら見ろよ、あれはアーネストじゃねえのか、兄弟?」
「本当だ……アーネストは生きていたんだ! U・S・A! U・S・A!(村を包む大歓声)」
「むっ……? 何だあの騒ぎは。アーネストが現れたとでも言うのか?」 ←自分が間違われていることに気づいていないレスラー
 
 一方その頃、FBI捜査官を隠れ身で追いかけていた、芹奈とマリーの女子二人組(一人はモヒカンの巨女)。
 この捜査官が、ナイル帝国のマッドサイエンティストと密かに連絡をとっているという、重要な情報をゲット。
 
 またその頃、アーネストと間違われ、本人も知らない間に村人に希望を与え始めていたロザリオマスクは、森で襲撃者と戦っていた。
 痛ましい傷を抱えながらも襲いかかってくる、筋骨隆々にして顔を隠した野生人。
 
「アーネストがあなたに襲い掛かってきました」
「ええ!? アーネスト本当に出てくるんだ!? えっとじゃあ、『知人』カードを使って知り合いにしよう」
「ジャングルの王者仲間」
「ゴリラ語で会話」
 
 ウホウホやった結果、「死んだ英雄アーネストはネクロマンサーに操られている」的な情報をカタコトで聞き出し、「村人のあの声を聞け。君はまだここに戻って来るべき体ではないのだ!」と追い返した。
 そしたら大量のトカゲとヒトデを引き連れて、数十メートルクラスの恐竜に乗って帰ってきましたね。アーネスト。怖いですね。
 
 ところがこの一大軍団、『安全ピンのマリー』がサイバー銃火器で行った一斉威嚇射撃で、たちどころに無力化。
 恐竜の頭に乗るアーネストには、森のコーナーポストから(森のコーナーポストってなんだ)飛び降りつつ、マイ・フェイバリット・ホールド『ジーザス・クライスト・スーパースター』を放つ、ロザリオマスクが襲いかかる!
 面白黒人のドミニク曰く。
 
「さっき村人あんだけ盛り上げて酒飲ませたから、襲撃受けてもこいつらベロンベロンで逃げられないんじゃないかなww」
「んおぉ? なんだぁ恐竜の頭の上で、アーネストとアーネストが戦ってるぞぉ?(村人A)」
「おめえ酒飲み過ぎだぞぉ、アッハッハッハ! おっ、アーネストがアーネストに勝ったあ!(村人B)」
「「「アーネスト! アーネスト!!」」」
 
 そんなわけでなんとなく大丈夫でした。
 アーネストを操っていたネクロマンサーの居場所も見つけ、芹奈とマキシムが逃さず拾って気絶させ。
 襲撃から無事に村を助けることに成功したわけです。
 もうこの段階でやりたいことをやりきった感があるわたしは、「今年のオンリーコンがもう終わった気がする」とか言ってました。
 
<シナリオ終盤>
 GMから「アーネストはこのままでは死にますが、もう一度ナイルヒーローに変身し直すことが出来れば、ゾンビヒーローとして生き残れます」と言われたので、ナイルキャラのロザリオマスクが、どうにかリアリティを変えてやることに。
 ここで『安全ピンのマリー』の持っていた、『ロマンス』カードが発動。彼女はアーネストの恋人だったことが発覚します。
 
「わたしの恋人アーネストを、絶対に救ってね。ロザリオ!」
「ああ、わかった。だがこの流れ、この後アーネストが死んで、わたしが顔を隠してアーネストのふりをしなきゃいけなくなるフラグだよな……」
 
 森のなかで嵐を起こし、互いの存在をかけたストームコンバットを行う、アーネストとロザリオマスク。
 結果的にはアーネストをナイルヒーローに変身し直すことは成功し、その一命は取り留めた。
 そこでGMがこんなことを。
 
「わたしは本物のアーネストじゃない。本物のアーネストは、そう……君だろう、ロザリオマスク」
「えっ」
「あなたがアーネストだったのね、ロザリオ! わたしよ、恋人のマリーよ!」
「い、いや、その……。このマスクの下の本当の顔は、誰も知らないのだ(てきとう)」
 
 導入だけで終わると思っていた『人物誤認』が、面白黒人ドミニクの「アーネストは生きてるんだぜ」の嘘を経て、最終的に「お前が本当のアーネストだ」になってしまいました。
 TORGって面白いね。なんだこれ。
 わたしはこの時、「第十七回TORGオンリーコンぐらいまでプレイした気がする」って言ってました。
 
 その後、村の中心部にしつらえたマットで、手頃なサイズの恐竜相手にプロレスをして人々に希望を与えていたら、敵の一団の最後の襲撃がやってきた!
 しかも敵はこの一帯のリアリティを、ナイル帝国の純正エリアに変えてしまう。困惑する一同。何も困らないロザリオマスク。
 そこに『ブレインバスター』の二つ名を持つ、マッドサイエンティストDr.バスタードが操る、自らの顔を模したいやらしい笑みの気球が大量発生。
 森に響く無数の笑い声。これではどこに本体がいるのかわからない!
 しかし芹奈が冷静に発言。
 
「先程のFBI捜査官が使用していた通信機を使えば、どこに本体がいるのかの特定は容易なはずですよね」
ぐぬぬ
「まさかその気球の目が光って攻撃なんてしませんよね」
「ぐぬっ、ぐぬぬぬぬ」
 
 かくしてあっさりトリックにハマって、気球から転がり落ちてくるDr.バスタード。
 と、ここまで地味で堅実な動きをしていたバーバリアン戦士のマキシムが、すっかりナイル帝国のリアリティに染まってしまってこんなことを言う。
 
「ロザリオマスク! この博士にツープラトン攻撃だ!」
「むうっ!? 話がわかるやつだな。お前はそんな男だったか、マキシム?」
 
 戸惑いながらもDr.バスタードに近づくロザリオマスク、「わたしの投げ間合いはお前より、バナナ一本分広い!」と、バナナを取り出して間合いの違いを見せつける。
 ちなみにこのバナナ、どっかで絶対使うと思って、わたしがコンビニで買ってきてこっそり隠し持っていたやつをプレイ中にリアルに取り出したやつだ。
 そのまま『ブレインバスター』を、もちろんブレーンバスターで放り投げ、脳震盪を起こしているところにマキシムの剣が炸裂。
 悪は滅びた!(ナイル的なわかりやすい帰結)
 
 だが本題はここから。
 この自遊人村を中心とした、一帯の5万人の人々に、希望の光を取り戻さないといけないわけです。
 実は敵側は、そうした希望の語り手を次々に抹殺して回っていた連中でもあります。
 そう、このチームの最重要メンバーは、リポーターの面白黒人であるドミニクなのだ。
 
 ここまでに積み上げてきた幾つもの希望の欠片(物資の手配、巨大恐竜の撃退、生きていたアーネスト、潰えたドクターの野望、ストームナイトたちが活躍で起こした数々の偉業、プロレス、など)を積み重ね、独特の軽妙な語り口でドミニクが伝説を語る。
 
「なあ兄弟、こんな話があるんだ」
 
 ちょっとだけヒヤッとするダイス目もあったものの、無事に伝説伝播ロールにも成功。
 我々は人々の希望を取り戻し、この一帯のリアリティを無事にリビングランドから地球へと塗り替え、ポシビリティ戦争を解決に導く貴重な一歩を踏み出したのであった。
 
<セッション終了>
 主にGMの暗転丸さんの機転のおかげだと思うのですが、カードの回りとキャラ設定、ロールプレイのノリが咬み合って、だいぶロザリオマスクに出番が回ってくる形になりました。
 ちょっと一人で目立ち過ぎちゃったものの、皆さんが「ロザリオマスク面白い」と楽しんでいただけたので、その点では何よりです。
 いやでも冒頭でも書いたけど、他の人も面白いこと言ってたから、それももっと聞きたかったんだよ!
 機会があればまた同じリングに上がりましょう。ロザリオマスクのいるところ、そこがリングなのだ。
 残ったバナナをしゃあみさんと食べて、「わたしたちバナナを分けあった仲ですね」という、よくわからない仲間意識を芽生えさせて終わり。
 
 TORGオンリーコン運営スタッフの皆さん、毎度本当にお疲れ様でした。
 「今年は具合悪いし行くのやめようかなあ」ってギリギリまで悩んで行った結果、「やっぱりこのイベント来たほうがいいわ」ってなりました。
 毎年楽しみにしております。
 再翻訳のTORG新版も、楽しみにしております。
 これを読んでいるあなたと同じリングに上がるのも、楽しみにしています。皆さん、よろしければ一緒に遊びましょう。