抱いて

コホコホと咳き込むごとに
僕の中から漏れるものは何だろう
伸びすぎた爪を切るごとに
僕の先から消えるものは何だろう


疑問を抱えながら眠りにつく
この血の落ちて溜まる丸い池には
全てのものが黒いルビーのように
色づけされて反転で映り


肌のしみが広がるごとに
僕の顔から減るものは何だろう
流れ出た血がこの世を見せて
僕の夢から呼んだ声は誰だろう


ここでこうして何もしない役目を
僕はきっちり全うしてきた
そして得られる対価は何だろう?
そして失う景色は何だろう?
ここでこうして何もしない役目で
1ミリも動かないで止まって
このむしょうに胸からあふれる
期待と失望は何だろう?


両手を真横に
広く拡げて大きな
それを受け止めて抱きしめる
ホントはそこに何もないのに