羽虫の憧憬

眉に寄る皺の数だけ時は流れ
闇夜を掻っ捌いて不安にも似たそれが注ぐ
コンビニエンスストアの捕虫用蛍光灯のみに照らされていた
僕の死骸がとうとう白日の下に晒される


秋の夢は冬に死に
冬の夢は春に眠る
では夏の死骸はどうだろう
すえた臭いを発して虫を呼び寄せるまでだ
しかしてその虫も焼け死ぬばかり


あれは彼女の黒髪なのだろうか
一条の曇った光明に後姿のシルエット
その姿が僕の死骸に目をくれて


いや、よそう、これにて終幕にございます