ぼっちの英雄譚

ねじれてる木の枝 あっちやこっち伸びて
陽の光差し込む スキもない森の
野ウサギの足跡 消えた井戸の底
歪 でも 鏡のように目を映す
 
欠けた牙をぴっかり光らせ 唸りを轟かし
よだれをダラダラして 現れ井戸の主
 
 
目を開けると揺れてる部屋 わずかな漏れ灯り
落ち着かない心で まぶたをまた閉じる
 
この魔物から平和を守り抜きましょう
いつの日かみんなで平和を称えあいましょう
 
 
力づく自慢の 剣振るう人
トネリコの木の杖 振るう知恵の人
それぞれの闘い それぞれの護り
やり方は違えど 必死に抗うぞ
 
負けじとほらワッと脅かし 噛み付く井戸の主
「くじけさせてやったぞ」 調子に乗ってます
 
 
目を開けるとまた揺れてる 涙がこぼれだす
「怖いけど」とつぶやき まぶたをまた閉じる
 
この魔物から平和を守り抜きましょう
いつの日かみんなで祝杯でもあげましょう
 
 
歪 でも 鏡のように目を映す
井戸の水面に目が 同じように浮かぶ
 
井戸の主はヌッとそこから
現れ嘲って
「お前はずっとそうして辛くもないくせに」
 
負けたくない 勝たなくても いいから押し込めろ
井戸の中に魔物を揺れても追い返せ
 
 
何度まぶたを開いて閉じてまた開けて
部屋の中必死に抗うやれるだけやる
自分だけのこの森は自分にしか守れない
ぼっちの英雄譚