君の睫毛が凍るから

君の睫毛が凍るから
まばたきで雪の結晶が
僕の部屋にとめどなく
もうこの寒さもう充分だよ
綺麗な白だよ
 
研ぎ澄まされた視線
突き刺さる先は気高い
君のお庭
 
冷たい指で浚う
月飲み場の庭の君が
色とりどりの扇子を
開いてすぐに閉じるみたいに
まばたきの間に小さく遠くに
君の指はあてどなく
融けて混ざって 六角形の華になる 綺麗な白い夢を
 
しんしいんと欠片が
街の全てをいとおしく
等しくなだらかに
結晶に整えていくね
 
街路樹も駐車場も
ああ長い その睫毛すら欠片にまみれ
僕は白い息を吐きかけ
君の世界を融かした
 
睫毛が凍るから
まばたきで雪の結晶が
僕の部屋にとめどなく
もうこの寒さもう充分だよ
綺麗な白だけが満ちてくよ