入院して退院して施設に入って

 前に書いてた日記が、「いつ何が起きたのか」を後で医者と話して振り返る時に役に立ったので、まとめとこう。
 自分が何時頃どんなふうに参ってたのかも、客観視出来たほうが役に立つ。
 
 一ヶ月ぐらい前に父が入院しました。
 きっかけとしては、家にある介護用ベッドから落ちて体を痛め、その数日後に往診の先生が家に来て、「あちこちだいぶ悪くなってるので入院しましょう」と診断されたこと。
 入院後は、腎臓病のせいも心臓病のせいも糖尿病のせいも加齢のせいも運動不足のせいもアルツハイマー痴呆からくる鬱のせいもあり、立ったり座ったりするのも難しいレベルでした。
 
 このまま家に帰っても、これは要介護で誰かがついていなきゃいけない状態になるなと母と話して、病院の介護職員さんの提案もあり、退院後は何らかの施設に入ることを検討。
 介護レベルがいくつ以上じゃないと入所の申請がおりないとか、その法律が今年から変わったので申請のタイミングが変わってどうこうとか、特別養護老人ホームは入所費用がそもそも高いのでどうしようとか、うちの父は心臓病で一級障害者なのでその補助も受けられるんじゃないかとか。
 いろいろ調べたり、施設を見学したりして、ここ最近バタバタとしていました。
 
 バタバタしている間は、色々大変でしたね。
 父がどれぐらいの容態でいつ退院出来るのか、施設に入るとしてどういう形で入るのか、入所前の面談などはいつ行われてわたしがいつ付き添わないといけないのか。
 そういうのの予定が全然立たないもので、仕事の予定も立たず、一時期毎日「明日まで締め切りを延ばしてください、明日になれば取り掛かれますので」みたいなことを言って頭を下げてた。
 病院内の情報伝達がうまく行ってないみたいで、休みをとって話を聞きに行っても「担当の者がいません」と言われて、3日ほど空振りを味わうなどしました。
 
 たまたま仕事が多めにあったものだから、謝りの連絡を入れる先も4つぐらいあって、一括で連絡ができないし毎日各所に頭を下げ続けるのも疲れる。
 挙句の果てにはわたしが体調を崩して、「すみません、父の件は決着ついたんですが自分の体調が……」ともなかなか言えず、少しだけ無理してやってみるなどしました。無理はよくないね! 更にへろへろになった。
 先方が気を使ってくれたのか、締め切りの日程になっても特に連絡をくれなくなるなどして、「これは呆れられて契約を切られたんじゃ……」と戦々恐々ともしました。
 こんな風に様々な事情で仕事の量が減ってしまって、こちとら出来高制なわけで、著しく収入が減ったし新規案件も断らざるを得なくなった。
 その上、「俺がこんなにつらいのにお前たちは何も助けてくれない」とか顔を合わせるたびに父は言うし、ずっと死ぬとか殺されるとか自殺するとか言ってるし、息子に向かって卑屈にすがるし悪意を持って睨まれるし、家で仕事中に病院から「お父さんが暴れて寝てくれないので寝るまで付き添いしてください」とか夜中に電話かかってくるし、手を変え品を変え精神攻撃を受けてかなり散々。
 
 そんな父は先週火曜に退院、施設に入所して、家族は一旦落ち着きました。
 横浜のとある介護老人保健施設に入所。緑が多くて建物内もキレイで海も見えて、入所者も職員もいい人ばかりで、「ちょっとしたホテルよりいいとこじゃないかこれは……!」って驚くぐらいの場所でした。
 しかし父は「俺はこんなところじゃなくて家に帰りたい」「俺を捨てるのか」と言い続けている。
 それを聞いて胸に湧き上がる暗澹たる気持ちを脇に置きつつ、残った仕事を先週いっぱい、慌てて片付けて。
 作りかけのTRPGシナリオを仕事明けに反日突貫で完成させて、土曜にGMをやって、その後一日半ぶっ倒れて今ようやく復帰。
 この日記を書いています。
 
 父は夜中になると寂しくなって騒ぎ出して、言うことは聞かないわ大声を上げるわ徘徊するわ暴力をふるうわで、かなり面倒なことになっているようです。
 今まではそういうのなかったんだけど、今回の入院からの一ヶ月の間に、かなりひどくなったみたい。妄想とか幻覚もあるようで。
 本日、施設の介護士から電話がかかってきて、「そういうわけで、落ち着くための薬を飲ませてもいいでしょうか。ふらついて倒れられたりするかもしれないのですが……」という相談をされました。暴れる件について頭を下げつつ、薬の件は勿論OK。
 それぐらいのリスクは我々は承知済みなので問題無いです。父自身はわかっていないみたいなんですが。
 んー。お世話になってる人たちに迷惑かけないでほしいなあ。困っちゃうね、どうにも。
 
 また、入所した施設はリハビリ施設なので、入所期間は3ヶ月の期限付き。9月には別の施設に移るか、実家に戻ってこないといけない。
 別の施設は入れるかどうかの申請と、お金が2〜3倍かかるという大きなハードルがありまして。
 家に帰ってくるようなら、誰かがつきっきりで相手しないといけなくなる。つまりは母か、わたしだ。
 そもそもあまり施設で問題を起こしていると、「うちで見れるレベルじゃないので別の施設に移っていただくことを検討してください」とかに話が展開していく可能性もある。
 実際、入院していたかかりつけの病院では「夜は我々では手に負えないので家族の方が付き添ってください」って言われたし、今入ってる施設でも「うちで預かるには相当難しい容態の方だとは思います」とも言われてる。
 
 休職の間のブランクも抜け、ようやく少しずつ仕事が回るようになり、「一人で行きていけるぐらいには稼げるかなあ」ってなった矢先に、完全なるそびえ建つ老害としてわたしの前に君臨した父……!
 困りつつも、仕事と身体の立て直しに入ろうというところであります。

 二次選考及び一次選考落選残念でした

 先日の日記で書いた、わたしの作品『結婚騒ダンジョン!(略)』は、結局モンスター文庫大賞の二次選考を落ちました。
 また、同時に応募していたエリュシオンノベルコンテスト、通称なろうコンにおきましても、一次選考にて落選です。
 非常に残念な結果ではありますが、なろうコンは昨年も同作品で落ちていますし、納得の結果です。
 「こうなりゃ百万円はもらったぜと吹聴しつつ、一週間後に落選結果が出たらこの日記を消して大オチとする」とこないだの日記では書いていましたが、なかなかどうして。予言は当たったものの、大オチに持って行くことは出来ませんでしたね。
 なぜかというと、もっと大きなオチが待っていたので。
 
http://www.wtrpg9.com/novel/info/098.html
 
 なろうコンに出していたもう一つの作品、『剣脚商売(けんきゃくしょうばい)』は一次を通過しちゃいましてですね……。
 もう四ヶ月も更新出来ていない、たった一万五千文字の作品が、応募作6284作品の中から残った420作品に入っています。
 いや、文字数がどうとかよりもまず、これ……。
 
<剣脚商売あらすじ>
 これは剣脚と呼ばれる美脚たちが、脚打ち鳴らし戦い続ける、群雄割拠冒険脚劇(ぐんゆうかっきょぼうけんきゃくげき)である。
 
 戦後!
 女性とストッキングは強くなったと言われている!
 恐るべきはこの二つが組み合わさったとき、生まれるもの!
 そう、それは、果てしなき美脚!
 美しい脚は美しいほどに輝きと鋭さを増し、まさに刀剣の如き切れ味と破壊力を伴うことは、周知の事実なのだ!
http://ncode.syosetu.com/n1046ci/
 
 よく一次通りましたね。
 面白いですよ。皆さんよろしく。
 今度こそ本当に二次を通る気は少しもありませんが、更新はします。突っ走ってネタ切れしたわけではないので、脚を長くして待て。

 メシとアシとボウシ

 友達の絵描き、とべないぼうし(http://tobenaibousi.tumblr.com/)のお祝いに、小田原に行ってきました。
 結婚して奥さん妊娠して、じきに子どもが生まれるんですよ! 前から「祝うよー」って言ってた、そのお祝い。
 
 わたしの携帯電話はだいぶ前から電池がダメになってて、充電器をつないでないと電話もネットも出来ない。メールを何とか送受信できる程度。携帯して外で使うことが殆ど出来ない。
 しかも、とべないぼうしの携帯は、メールの受信が出来なくなっているという。
 なので二人とも携帯持ってるのに、外で連絡を付け合うことが出来ないんですよ。
 事前に駅での待ち合わせ場所と、遅れた場合の避難待ち合わせ場所も決めて、お昼ぐらいに家を出ました。
 
 そしたら小田原目前で小田急線が、人身事故で止まっちゃって。
 駅員さんに聞いたら「振替もやってますけど、今から振替ルートに移動するより復旧を待ってたほうが早いので、どうぞお待ちください」って言われて。
 12時半の復旧を待ってたけども、半になったら「12時50分に延長します」ってアナウンスが。
 この辺でなんとかぼうしに連絡しようと、公衆電話を探してみる。どこにもない。駅に立ち往生してる美脚の黒タイツはいっぱいいる(個人的な目の付け所の問題ではなくて、本当にいっぱいいた)。
 せめてツイッターに遅延の現状を書き込めば、向こうも気づいてくれるかもしれない。よしメールでつぶやこう。
 メールする→送信途中で電池切れ。送れない!
 
 仕方ないので55分にようやく動き始めたぎゅうぎゅうづめの電車に乗って、いざ発車のタイミングで「警察の現場検証が再開したため、まだ発車できません」のアナウンス。
 車内の人々の「えええー!?」の声が面白かったです。
 
 結局30分の遅刻で小田原到着。ぼうしに謝りながら合流。
 「でもそんな状況だったら来るのも大変だったでしょ」って言われたんだけど、待ち時間も移動中も目の前に黒タイツがいて全然苦じゃなかったです。
 我ながら本当に待つのがちっとも困らなくて、「これで1時間ぐらい余裕で潰せるな……」って思いながら過ごしてました。
 
 合流後、約束してた遅めのお昼ごはん。
 昨年の食べログランキングで神奈川県1位を獲得したうなぎ屋が、小田原にあるらしい。
 じゃあそれ食べに行ってみようぜということで、ぼうしに車を出してもらって、お店に移動。
 着いたら想像通りの繁盛ぶりの店内。「1時間ほどお待ちいただきますが大丈夫ですか?」と聞かれ、「いいですよー」と連絡先教えて、ファミレスでコーヒー飲みながら待つ。
 1時間後。時刻は昼の2時半過ぎ。電話で呼ばれてお店に行くと、「食材が無くなったため本日は終了いたします」と店外に掲示されてる。
 えっこの店ラストオーダー5時でしょ? まだ2時間以上あるのに?
 思えば我々が最初に到着した時点で、駐車場には「今日はもう終了です」の看板が早々に立ってたし、割りとラストオーダーギリギリでの訪問だったっぽいです。
 
 で、うなぎ食べたんだ。
 これが「えっ……うま……」って言葉が他に出なくなるぐらいうまかった。久しぶりにあんなにうまい食べ物食べたよ。
 お重開けた時のふっくらかげんとか、箸を入れた時の柔らかさとかが、もう既に「これ間違いなくうまい」って感じで。食べたらうなぎの脂が濃厚。タレも程よく。山椒とかですらすげえうまいんだもの。何だあの店。
 あとで聞いたら、食べログランキングうなぎ部門で全国2位、ミシュランの星もひとつついてるらしい。
 これが4000円程度で食えるなら、たまに奮発して小田原に食いに来てもいいなって思えるような味でした。
 
 店の雰囲気が料亭みたいに格式張ってるわけでもなく、それでいて落ち着いて居心地のいい、品の良い食堂って感じなのも良かった。
 意外なことにごはんおかわり無料だったりもしました。ぼうしは大盛り頼んでたんだけど、大盛り分のごはんがお茶碗に盛られてうな重と同時に出てきたのが面白かった。
 うなぎ以外の創作料理も酒もうまそうだったので、次また行ければそれも食べたいな。
http://www.tomoei-unagi.com/
 同じ通りに箱根ビールの醸造所とか鈴廣のかまぼこ博物館とかもあって、そっちも気になった。温泉もあったみたい。
 
 うなぎとぼうしだけでかなり満足してたんだけど、そっからわたしの携帯買い替え相談に乗ってもらって。
 ぼうしの案内で、量販店と携帯ショップを回って相場を見て、コメダ珈琲でダベって、夜は駅前のバルっぽい店で牡蠣食いながらビールと地酒を頂いて帰りました。
 
 色々話したり色々笑ったり「うまい」「これもうまい」と言い合ったり心配しあったりの盛りだくさんの一日でした。
 父になるとべないぼうしを、これからも応援していこうと思います。
 帰りの電車にはもう黒い美脚がいなかったので、あの人達は温泉旅館にお泊りしているんでしょう。
 土曜の箱根方面には美脚が泊まっている。ひとつかしこくなりましたね。

 一次選考通過おめでとうございます

 わたしが書いてネットに発表してる『結婚騒ダンジョン! 〜俺と三匹の婚約者と仲間と罠と宝と転生チートと雑多なモンスター共が織りなすナイトメアー・ビフォア・ブライダル〜』が、双葉社モンスター文庫小説大賞の一次選考を通過しました。
http://www.futabasha.co.jp/monster/award/entry.html#entry_monster
http://ncode.syosetu.com/n6038bw/
 
 この『小説家になろう』ってサイトでは年に数回、様々な出版社が賞を設けて作品を募集してるんですよ。
 文字数とかテーマとかの規定さえ守っていれば、あとは小説に応募用のタグをつけるだけで、応募は完了。
 気軽に参加できるので、「一丁試しにやってみるか!」と応募タグを入れてみたのが一年ぐらい前。
 
 それからいくつかの賞の選考に落ち、一次選考すら通過しなかったんですよね。
 サイトに発表する前に、客層や傾向のリサーチもしていたはずなんだけど、書きながら改めて色々見て調べて行ったところ、このサイトや各賞で求められている要素が、自分の作品と思いのほか合致してないことがわかってきて。
 「これは賞取るのは無理なんだな」って思うようになり、「でもネット小説界隈じゃない賞でならもう少し戦える気はするので、早く書き上げてどっかに送るなり、新作に専念するなりしよう」と決めたのは、多分去年の春ぐらい。
 だからネット応募の賞レースは、既にかなり諦めてたんですよ。
 
 それでもタグを打ってあったのは、これを付けとけばそれだけで賞に出せるっていう気楽さと、アクセス数を増やしたいというのが主な理由。
 「どんな作品が応募されてるんだろう」って見に来る人が結構いるみたいで、賞応募のタグはお互いに新規開拓になるわけです。
 そこからファンが増えて応援してくれるかもしれないし。
 
 で、モンスター文庫大賞のタグをつけてたわけですけど、「そういやあれの発表1月末だったなあ」って2月に入ってから気づいて、「落ちた賞のタグをつけっぱなしにしてると恥ずかしいから消しとこう」ってサイトにアクセスして、そのついでに一次選考通過作品を眺めてたら、自分の作品の名前が載っていたと。そういうわけです。
 勝手に落ちたつもりになってたので、びっくりしました。タグを消してから結果を見に行かなくてよかったと思います。
 
 しかし先に書いた通り、ネット小説の賞レースではこの作品は行けそうにないなって気持ちは、そのまま心に残ってます。
 一時は通過したけれど、他の作品のタイトルなんかを見る限り、「やっぱり今回もムリだろうなあ」と考えている状態です。
 だから恐らくここがピークだと思うので、皆さん今のうちに祝っておいてください。
 
 一応、応募作・千数百作品から選抜された百作程度のうちのひとつであり、もっと高ポイントを取ってる作品を押しのけてまで一次に残していただいたわけでして、すごい。めでたいことはめでたい。
 ついでに言うとブックマークがついに200件を突破し、ポイントも600の大台に乗りました。一次選考通過のおかげかも。めでたい。
 
 「いやいやプロなんだからむしろ一次ぐらい通過しなきゃおかしいでしょ」と思うかもしれませんが、プロで文章を書くのと、賞レースに勝つのは、少々趣が違う感じもあるんですよね。
 これは多分、同じような仕事をしている人のほうがわかってくれると思うんですよ。仕事としてコンスタントに求められた文章を書いてお金をもらうことと、読者や審査員の要望を受けて勝ち上がるのは、また別の力によるものなのかもしれません。
 だから凄い才能を持った俊英が、デビュー後鳴かず飛ばずになっちゃうとかあるんだよね。持続って難しいですね。
 逆にバリバリに仕事をこなしてる物書きが賞は全然取れないとか、そういうこともあるみたいです。自分は仕事もそんなにバリバリやってないので、どっちでもないです。
 
 さて。
 こっから先の選考を通過出来る気はしないと言ってはいても、やはり一度こういうことがあると、「もしかしたら二次も通過するんじゃ……?」なんていう欲目も出てきてしまうのが人の性ですよね。
 なのでむしろ逆に、「ああもうこれ大賞とって百万円貰うに決まってるので皆さんよろしく。さーて百万何に使おうかなー」とか、言う。
 でもこれあと一週間で二次選考の結果が出るので、それで落ちてたら恥ずかしくなってこの日記消すから、そこがこの日記の一番の大オチだと思ってください。

 第十六回TORGオンリーコンプレイレポ

 面白いことを言って人を楽しませたいけど、自分が面白いことを言っている間は、他の人の言う面白いことが聞けなくなるので、面白いことを言うのは難しいなあ。
 ほら、全力で攻めに回るとそれはそれで楽しいけど、少し自分の中での受けの面も残しておかないと、相手の攻めっけをうまく受け止めて楽しめないじゃないですか……。
 何の話だったっけ。エロい話だったっけ。
 
 思い出した、TORGオンリーコンに行ってきました。記憶だよりのプレイレポを書いておきます。
 細かい間違いや活躍シーンの欠如は、この脳のスペックの問題なので申し訳ないです。
 
 朝、駅前で会場までのルート案内をしているオンリーコンスタッフに声をかけ、「あ、じゃあ自分、トイレ行きたいし、何回か行ってて会場の場所もわかるんで、先に行きますね」と一人で会場に向かう。
 早速道に迷う。
 自力で正解ルートを探しだして会場への道に近づいていくも、着かない。
 『いたばし観光センター』というのを見かけたので中に入って道を教えてもらい、もらった地図を片手に迷いながら会場へ(※年に数回、何度も足を運んでいる会場です)。
 会場を目前にして、本当にドンピシャのタイミングで曲がり角から現れる、駅前で会場案内してたスタッフの人。
 
「別れて迷った挙句、今こうしてぶつかったんですけど、どう考えても最初から一緒に会場に行けばよかったですね!?」
「そうですねww あ、ここが会場です」
「知ってるよ! ここまで案内してきた風にするなよww」
 
 そんな経緯を経て、会場到着。
 開会式を終え、GM紹介も終え、順調に卓分けへと移ります。
 ちなみに今年のGM紹介ナンバーワンは、スーツに狼の面をかぶって、ハイテク大好き狼男のスクサーカになりきり、プロジェクターを使用してプレゼンをやった人。
 プレゼン内容とプロジェクターの画像の切り替わりが全然あってない辺り、ハイテクを使いこなせてないスクサーカっぽくて、すごく良かったです。
 
 わたしは暗転丸さんの「テーマは王道復古。ベタで、コテコテで、それでいて一筋縄では行かない、ごく普通のヒーローの任務を果たしていただきます」という卓に入りました。
 卓紹介はこちらの中ほど。
http://www.venus.dti.ne.jp/~hibiki/torg_conv/16th_intro.html
 
 十数年に及ぶTRPGニアミスを繰り返し、昨年のオンリーコンでやっと再会するも結局同じ卓に入れなかった人と、今年はめでたく同じ卓に!
 しかも、こちらも長年「いつか一緒に遊びたいですねー」とお話していた、しゃあみさんとも同じ卓。
 「これは下手な真似はできないなあ」ということで、シナリオの説明を受けつつGMに「こういうキャラをやりたいんだけどいいでしょうか」と聞いて、「いいよー」と許可をとって。
 かっこいいレスラーキャラをやりたかったんですが、いろいろあってだいぶややこしいキャラにはなりました。
 
<PC紹介>
●『地球のリポーター』 ドミニク・イェーグ
 31歳男性。190センチ超えのスキンヘッドの黒人。
 べらべら喋って誰とでも打ち解ける、面白黒人枠。
 説得技能が高い(PCもそうだけど、プレイヤーさんも高そうだった)ので、メンバーの交渉役でもあります。
 でかいけどな。
 
●『火士ハッカー』 牧野芹奈
 25歳女性。こじんまりとしているけれど、意志の強そうなOL風。
 ニッポンで政府に敵対している、ハッカー組織の人間なれど、今回はコンピューター系の技能の使用機会は少なめ。
 とはいえ、やはりこちらも交渉は巧み。口先だけではない実益のある商談を進める、裏の交渉役。
 
●『バーバリアン戦士』 マキシミリアン
 26歳男性。ファンタジー世界からやってきた、剣を片手に戦うコナンっぽい人。
 先ほどの牧野と夫婦ということで、なんだか複雑な事情の有りそうなご家庭だなこの人達。
 そして身長180センチ超え。バーバリアンだもんね。でかい。
 
●『ストリート・パンク』 アンヌマリー・クロステル
 18歳女性。サイバー教皇領の裏町に住む、危険なパンク女。
 通称『安全ピンのマリー』。鼻に安全ピンを刺して、髪はオレンジのモヒカン、身長は180センチ超え。
 なんだこいつ女だけどでかい! 見た目も怖い!
 
●『ジャングルの王者』 ロザリオマスク
 年齢不詳のマスクマン。わたしのPCです。
 ジャングルでゴリラに育てられたが、ある時神の教えに目覚め、自分のような不幸な孤児がこれ以上生まれないようにと、マスクを被ってプロレス興行に勤しみ孤児院に送金する。
 ぱっつんぱっつんの神父服に、キリスト像を額に掲げたマスクを被っています。トラのマスクじゃないです。
 そして身長2メーター超えで体重も150キロぐらいある。
 
「PCみんなでかくないですか!?」
「牧野だけ縮こまってそうだなこれ」
「エクスペンダブルズみたいだww」
 
<シナリオ導入>
 こんなメンツが何故集まったのかというと、原始世界と化してしまったアメリカで、森の奥に取り残された5万人の住民をどうにかして助け出すための、独立チームが欲しかったからです。
 アメリカ臨時政府は米軍を動かして、この一帯を元のアメリカに戻そうとしている。
 だが避難民たちはどうすればいいのか。彼らを助けだす方法は? というのを試行錯誤するのが我々の役割。
 そしてここで、わたしが出していたサイドストーリー・カード『人物誤認』に対して、GMサイドから働きかけが発動。
 
「このリビングランドで偉業を起こしたジャングルの王者、アーネストという人物がいるんだが……。ロザリオマスク、どうやら君はアーネストではないようだな」
「はて、ジャングルの王者……? 何のことかな」
「ただのレスラーには用はなかったのだが、君もストームナイトの一員だ。役に立つかもしれん、チームに同行してくれたまえ」
「うむ!」
 
 これで『人物誤認』カードの効果はもう終わったかとおもいきや。
 このGMの働きかけをきっかけに、シナリオはとんでもないことになっていくのである!
 
「ところでロザリオマスクって、なんで自分がジャングルの王者だってことを隠して、マスクマンやってるの?」
「わたしのファンの子どもたちの、夢が壊れるだろう。あのロザリオマスクが、ゴリラに育てられたなどと、知ったらな……!」
「いやむしろ納得するんじゃねーかな」
 
<シナリオ中盤>
 霧に包まれた深い森、リビングランドへとトラックで向かう、我々Aチーム(Aチームじゃない)。
 この地を離れず、森にとどまることを選んだ人で作られた自遊人村で、PCは各自別れて行動を開始します。
 リポーターのドミニクとバーバリアン戦士のマキシムは、村の住民の話を聞きに。
 牧野と『安全ピンのマリー』は、チームに同行しているFBI捜査官の動向を探りに。
 ロザリオマスクは村の周囲の森を警戒に向かった。
 
 面白黒人枠ドミニクは、その軽口で村人の警戒を解き、彼らが希望を失いつつあることを突き止めます。
 
「俺達を救ってくれたジャングルの王者、アーネストは死んだって聞いたんだ」
「なーにを言ってるんだ兄弟、アーネストはまだピンピンしてるぜ?」
 
 その嘘を補完するために、『緊急行動』カードを使ってその場に後ろ姿だけを表す、ロザリオマスク。
 先ほど発動した『人物誤認』カードももちろん効果を発揮だ!
 
「ほら見ろよ、あれはアーネストじゃねえのか、兄弟?」
「本当だ……アーネストは生きていたんだ! U・S・A! U・S・A!(村を包む大歓声)」
「むっ……? 何だあの騒ぎは。アーネストが現れたとでも言うのか?」 ←自分が間違われていることに気づいていないレスラー
 
 一方その頃、FBI捜査官を隠れ身で追いかけていた、芹奈とマリーの女子二人組(一人はモヒカンの巨女)。
 この捜査官が、ナイル帝国のマッドサイエンティストと密かに連絡をとっているという、重要な情報をゲット。
 
 またその頃、アーネストと間違われ、本人も知らない間に村人に希望を与え始めていたロザリオマスクは、森で襲撃者と戦っていた。
 痛ましい傷を抱えながらも襲いかかってくる、筋骨隆々にして顔を隠した野生人。
 
「アーネストがあなたに襲い掛かってきました」
「ええ!? アーネスト本当に出てくるんだ!? えっとじゃあ、『知人』カードを使って知り合いにしよう」
「ジャングルの王者仲間」
「ゴリラ語で会話」
 
 ウホウホやった結果、「死んだ英雄アーネストはネクロマンサーに操られている」的な情報をカタコトで聞き出し、「村人のあの声を聞け。君はまだここに戻って来るべき体ではないのだ!」と追い返した。
 そしたら大量のトカゲとヒトデを引き連れて、数十メートルクラスの恐竜に乗って帰ってきましたね。アーネスト。怖いですね。
 
 ところがこの一大軍団、『安全ピンのマリー』がサイバー銃火器で行った一斉威嚇射撃で、たちどころに無力化。
 恐竜の頭に乗るアーネストには、森のコーナーポストから(森のコーナーポストってなんだ)飛び降りつつ、マイ・フェイバリット・ホールド『ジーザス・クライスト・スーパースター』を放つ、ロザリオマスクが襲いかかる!
 面白黒人のドミニク曰く。
 
「さっき村人あんだけ盛り上げて酒飲ませたから、襲撃受けてもこいつらベロンベロンで逃げられないんじゃないかなww」
「んおぉ? なんだぁ恐竜の頭の上で、アーネストとアーネストが戦ってるぞぉ?(村人A)」
「おめえ酒飲み過ぎだぞぉ、アッハッハッハ! おっ、アーネストがアーネストに勝ったあ!(村人B)」
「「「アーネスト! アーネスト!!」」」
 
 そんなわけでなんとなく大丈夫でした。
 アーネストを操っていたネクロマンサーの居場所も見つけ、芹奈とマキシムが逃さず拾って気絶させ。
 襲撃から無事に村を助けることに成功したわけです。
 もうこの段階でやりたいことをやりきった感があるわたしは、「今年のオンリーコンがもう終わった気がする」とか言ってました。
 
<シナリオ終盤>
 GMから「アーネストはこのままでは死にますが、もう一度ナイルヒーローに変身し直すことが出来れば、ゾンビヒーローとして生き残れます」と言われたので、ナイルキャラのロザリオマスクが、どうにかリアリティを変えてやることに。
 ここで『安全ピンのマリー』の持っていた、『ロマンス』カードが発動。彼女はアーネストの恋人だったことが発覚します。
 
「わたしの恋人アーネストを、絶対に救ってね。ロザリオ!」
「ああ、わかった。だがこの流れ、この後アーネストが死んで、わたしが顔を隠してアーネストのふりをしなきゃいけなくなるフラグだよな……」
 
 森のなかで嵐を起こし、互いの存在をかけたストームコンバットを行う、アーネストとロザリオマスク。
 結果的にはアーネストをナイルヒーローに変身し直すことは成功し、その一命は取り留めた。
 そこでGMがこんなことを。
 
「わたしは本物のアーネストじゃない。本物のアーネストは、そう……君だろう、ロザリオマスク」
「えっ」
「あなたがアーネストだったのね、ロザリオ! わたしよ、恋人のマリーよ!」
「い、いや、その……。このマスクの下の本当の顔は、誰も知らないのだ(てきとう)」
 
 導入だけで終わると思っていた『人物誤認』が、面白黒人ドミニクの「アーネストは生きてるんだぜ」の嘘を経て、最終的に「お前が本当のアーネストだ」になってしまいました。
 TORGって面白いね。なんだこれ。
 わたしはこの時、「第十七回TORGオンリーコンぐらいまでプレイした気がする」って言ってました。
 
 その後、村の中心部にしつらえたマットで、手頃なサイズの恐竜相手にプロレスをして人々に希望を与えていたら、敵の一団の最後の襲撃がやってきた!
 しかも敵はこの一帯のリアリティを、ナイル帝国の純正エリアに変えてしまう。困惑する一同。何も困らないロザリオマスク。
 そこに『ブレインバスター』の二つ名を持つ、マッドサイエンティストDr.バスタードが操る、自らの顔を模したいやらしい笑みの気球が大量発生。
 森に響く無数の笑い声。これではどこに本体がいるのかわからない!
 しかし芹奈が冷静に発言。
 
「先程のFBI捜査官が使用していた通信機を使えば、どこに本体がいるのかの特定は容易なはずですよね」
ぐぬぬ
「まさかその気球の目が光って攻撃なんてしませんよね」
「ぐぬっ、ぐぬぬぬぬ」
 
 かくしてあっさりトリックにハマって、気球から転がり落ちてくるDr.バスタード。
 と、ここまで地味で堅実な動きをしていたバーバリアン戦士のマキシムが、すっかりナイル帝国のリアリティに染まってしまってこんなことを言う。
 
「ロザリオマスク! この博士にツープラトン攻撃だ!」
「むうっ!? 話がわかるやつだな。お前はそんな男だったか、マキシム?」
 
 戸惑いながらもDr.バスタードに近づくロザリオマスク、「わたしの投げ間合いはお前より、バナナ一本分広い!」と、バナナを取り出して間合いの違いを見せつける。
 ちなみにこのバナナ、どっかで絶対使うと思って、わたしがコンビニで買ってきてこっそり隠し持っていたやつをプレイ中にリアルに取り出したやつだ。
 そのまま『ブレインバスター』を、もちろんブレーンバスターで放り投げ、脳震盪を起こしているところにマキシムの剣が炸裂。
 悪は滅びた!(ナイル的なわかりやすい帰結)
 
 だが本題はここから。
 この自遊人村を中心とした、一帯の5万人の人々に、希望の光を取り戻さないといけないわけです。
 実は敵側は、そうした希望の語り手を次々に抹殺して回っていた連中でもあります。
 そう、このチームの最重要メンバーは、リポーターの面白黒人であるドミニクなのだ。
 
 ここまでに積み上げてきた幾つもの希望の欠片(物資の手配、巨大恐竜の撃退、生きていたアーネスト、潰えたドクターの野望、ストームナイトたちが活躍で起こした数々の偉業、プロレス、など)を積み重ね、独特の軽妙な語り口でドミニクが伝説を語る。
 
「なあ兄弟、こんな話があるんだ」
 
 ちょっとだけヒヤッとするダイス目もあったものの、無事に伝説伝播ロールにも成功。
 我々は人々の希望を取り戻し、この一帯のリアリティを無事にリビングランドから地球へと塗り替え、ポシビリティ戦争を解決に導く貴重な一歩を踏み出したのであった。
 
<セッション終了>
 主にGMの暗転丸さんの機転のおかげだと思うのですが、カードの回りとキャラ設定、ロールプレイのノリが咬み合って、だいぶロザリオマスクに出番が回ってくる形になりました。
 ちょっと一人で目立ち過ぎちゃったものの、皆さんが「ロザリオマスク面白い」と楽しんでいただけたので、その点では何よりです。
 いやでも冒頭でも書いたけど、他の人も面白いこと言ってたから、それももっと聞きたかったんだよ!
 機会があればまた同じリングに上がりましょう。ロザリオマスクのいるところ、そこがリングなのだ。
 残ったバナナをしゃあみさんと食べて、「わたしたちバナナを分けあった仲ですね」という、よくわからない仲間意識を芽生えさせて終わり。
 
 TORGオンリーコン運営スタッフの皆さん、毎度本当にお疲れ様でした。
 「今年は具合悪いし行くのやめようかなあ」ってギリギリまで悩んで行った結果、「やっぱりこのイベント来たほうがいいわ」ってなりました。
 毎年楽しみにしております。
 再翻訳のTORG新版も、楽しみにしております。
 これを読んでいるあなたと同じリングに上がるのも、楽しみにしています。皆さん、よろしければ一緒に遊びましょう。

 梅雨明けまで続いていたものが

 中学生の頃、遠距離走で走っている男の子に向かって、同じクラスの女の子が「◯◯くん、がんばって〜!」って声援を送って、その瞬間だけ男の子が特別気合入れて、スピードが早くなった。
 その時にわたしは、「これが男の生き方っていうものだ!」って強く思い、未だに心に刻み込まれています。
 声援があると、頑張れる。一瞬だけかもしれないけど、まあ頑張れる。
 それと同じぐらいわたしの心に刻み込まれたこととして、20代なかばぐらいの時にたまのインストアライブに行ったら、しょぼーい楽器だし人もそんなに集まってないんだけど、演奏してる三人は楽しそうだし、聞いてる人らもすごく楽しそうで。
 自分たちにしか出来ないようなことを、同じ感性の仲間同士で集まって、最低限の設備でやってみせ、それを喜んでくれる人達が少なからずいる。
 「これだ! これがわたしのやりたいことだ!」と強く思いました。未だに心に刻み込まれています。
 しかし現状、声援を送り続けてくれる方も、同じ感性で何かを成し遂げる仲間も、欠けています。
 欠けていますので、一人でできることをやるのです! 「いつか欠けてるところが満ちるといいな」という気持ちで。
 
http://ncode.syosetu.com/n3705cd/
 そんな志があってか、あらずか、わたしの短編作品『雨天結構』が完結いたしました。
 10年近く前に書き始めて、「梅雨明けまで続く」と言いつつ梅雨が明ける頃には更新の手が止まり、いつまでたっても完結しなかったこのお話。
 完結させようとすると、何かに遮られちゃって終わらせられなかった、このお話。
 過去の自分の文章の切れ味に振り回されつつも、今の自分でねじ伏せて、どうにか完結に至りました。短いものですが、良ければ梅雨明け近いということで、ご一読どうぞ。
 
 なんだか6月末から妙に忙しいのですが、「連休に時間が空いたから終わらせようかな」という気持ちと、感想の後押しが重なって、『雨天結構』はうまいこと着地することが出来ました。
 友人・知人にファンも多く、恵まれた作品です。
 『結婚騒ダンジョン!』もそういうふうになれるといいんですが。なんとか良い形で、完結まで走り切れたらと思っています。
http://ncode.syosetu.com/n6038bw/
 
 でも明日から怒涛のお仕事が始まりそうなので、なかなか不安なんですけどね!

 新作歌詞、『少女には口笛』&『カナチノ』

 久しぶりに歌詞を書きました。
 まずは一つ目、mikoちゃんのミニアルバム『One』で一曲作詞。タイトルは『少女には口笛』。
 民族音楽系の曲調で、物語風の歌詞を書いたよ。メインメロとサブメロの二つの視点が語る男女の思い出と、その結末とは。
http://miko.s234.xrea.com/products/aecd0007_one/
 クロスフェード試聴ありますよ。
 
 それともうひとつ、女子三人の転職活動をモチーフにしたボーカルアルバム、『テンカツ!』でも一曲作詞しました。
 nachiさん演じる朝辛ナチノが歌うバラード、『カナチノ』です。
http://tenkatsu.dojin.com/
 お酒と仕事と女子と、淡い希望との歌。こちらもクロスフェード試聴ありです。
 
 どちらも自信作。明日のM3が初出になるのかな。
 イベントやショップで見かけたら手にとってくださいませ。
 発売後に各曲作詞のこぼれ話もこちらに書く予定。時間たったらまた覗きに来てください。
 
 で、今日はこれから上記のmikoちゃんが出るお芝居を見に行きます。まるかど企画『ラブ八分目』。
https://twitter.com/marukado_band
 一緒に見に行くのは、西の詩人ことカヲルくん。以前にわたしと朗読詩集を出した、彼です。
http://savan.rossa.cc/yuyami/index.html
 異色な取り合わせで、観て飲んで帰ってくる。面白ゲストも来るっぽいので、ゴールデンウィークの楽しみを今夜にギュッと詰め込みますかね。