フランスヒットチャート一位の日本人のおっさんたち、パスカルズを知っているか

 フランスではヒットチャートのトップを飾り、高い知名度を誇るも日本ではまったくといっていいほどに無名。15人編成の、楽団といっても差し支えないほどのアコースティック・バンド。
 バイオリンふたり、リコーダーふたり、チェロがふたり、ドラムがひとり、パーカッションがひとり、ギターがひとり、ウクレレがひとり、バンジョーがひとり、トランペットがひとり、トイピアノがひとり、そしてバンマスがピアニカを吹いてみんなを取りまとめる。
 その音楽のアッチの世界に持っていかれる感は圧倒的です。とにかくまずは以下のリンクを踏んでみてください!
 フランスの映像作家が撮影した、吉祥寺スターパインズカフェでの演奏風景
 もしくはこちらも初見の方にはオススメ。Taking Dog Fields!

 途中でヘリで飛んでいく風船がかわいいです。


 メンバーの中には、元たまのメンバーの石川浩司さんと知久寿焼さんがいまして、もともとたまの大ファンの僕はそこからパスカルズを知ったのですが、正直家でCDを聞いているウチはそんなに好きではありませんでした。
 ところが一度インストアライブに足を運んでみたところ、評価ががらりと変わった。目が潤んで腰が抜けそうになりました。久々に生の力ってのを味わって、感動に体が震えました。興奮しました。このメンツによる音の厚み、そして各自のキャラクターが奏でる音という空間ってなんだこりゃ!
 このバンドを知り、同じ時間を過ごし、ライブを見にいけたことを心底幸福に思いました。そして、おっさんとおばさんの底力を思い知りました。アコースティック・バンドとか言ってるけど、時としてパンキッシュだったり妙にアングラな曲を披露したり、やってることがとんでもないです。年をとってここまで好き勝手やるものかー。
 例えば下の動画は、上に貼ったようつべの続きに当たる動画なんですが、カウベル持っておっさんが乱入してきてなんか暴れまわってます。ダサかっこいい。というか、これ演奏なの?

 しかしこの、「これ演奏なの?」といったところまで全て含めてのエンタテインメントを提供するのが、まさにパスカルズであり、この娯楽性とビートとハーモニーと牧歌的な部分と前衛的な部分が、フランス人の心を掴んだようなのです。日本ではツアー組めないのに、ヨーロッパだと向こうから招待されてツアーやってるし、どこでやっても満員だし。
 更に言えば、「これ演奏なの?」ってのはこの程度に全然留まらないわけで。
 メンバーのうちの石川さんは(上の動画でカウベル持って乱入してきた人)、全編アドリブでこの演奏に参加しています。リハすら顔を出さないことがあるらしい。で、何をやるのか他の演奏者も、いざやってみるまでわからない。あんまりおかしなことし過ぎて共演者が演奏中に笑い転げてしまったこともあるらしい。
 だから、曲の途中でフランス人に日本語で口上を述べてしまったりもするのです。

 そしてこの石川浩司に負けず劣らずの変態演奏家が、電子チェロの坂本弘道。チェロをギターのように横に持ってかき鳴らしてみたかと思えば、弓の代わりに電気マッサージ器で弦を震えさせることもある。チェロじゃなくてノコギリを弾いている事もある。そして極め付けが、チェロの金具部分を工具で切り裂き火花を飛ばし始める。
 以下は僕の大好きな曲、ファンファーレ・ブーメランです。途中で変なマスクをつけた男が演奏に戻ったと思ったら、その背後から……。

 楽団というかサーカスですねこれじゃ。


 そんなわけでとにかく僕が大好きなパスカルズなんですが、今月の23日の19:30に新宿のタワレコで、ニューアルバム発売記念のンストアライブがあるんですよね。
 このイベントでCD買った人には特別にオマケも出るらしいので、久しぶりにその演奏を聴きに行ってきます。
 インストアライブ用の狭い立ち位置にメンバーがぎゅうぎゅうに立っている様子を見るのも楽しいんですが。この日はさすがにフルメンバーじゃないらしいんだけど、それでも10人以上は来るらしい。多いってば。


 ちなみに、歌も歌います。
 これぞネイチャーソング。穀物のうた。男女入り混じっての合唱が楽しい、だんだん畑。

 これのメインボーカルは、日本のビョークと現地で評された、あかねさんです。
 他にも本業は漫画家の大竹サラさんとか、マスコミ関係が本業なので選挙とライブが重なったら来れなかった松井亜由美とか、テレビチャンピオンの家具職人選手権の常連出場者の三木黄太とか、バンマスのマツさんは昔キヨシローと一緒にタイマーズって危ないバンドやってたとか……。
 まだまだ音楽的部分以外にも語りつくせない魅力が多いのですが、最後は冒頭に紹介したフランス人映像作家の手による美しい動画にて、パスカルズ紹介を終了いたします。
 これもまた大好きな曲、のはら。エンディングの盛り上がりが圧巻
 そしてラストにメンバー紹介


 パスカルズオフィシャルウェブサイト