日常に潜む哲学的命題

 真実とは一体なんだろうか。
 全ての物事はその存在が具象であるか抽象であるかに関わらず、非常に多角的である。
 見方を少しだけ変えてみることで、真実なんていうものは全く新しい形でそこに姿を表してしまう。
 自分が今まで真実だと信じきっていたものに対して、突如新たな命題を与えられたらどうだろう。予想外の疑問を突きつけられたらどうだろう。
 あなたの前にあるリンゴは、本当に赤いのだろうか。あなたが『赤』と認識している色が、本当は『青』だったとしたら? あなたは青い色のリンゴに対して、自分がそう認識しているからと言う理由だけで、「これは赤い色だ」と結論付けているだけなのかもしれない。そもそもそこにあるのはリンゴなのだろうか? たまたま偶然にも形も味も肌触りも同じに熟成された柿であるという可能性は無いだろうか? そもそもあなた以外の人々は、あなたと同じ認識で世界が見えているのだろうか?
 そしてあなたが一日中履いていたパンツが裏表逆だったと夜中に気づいたとして、あなたはそれをもう一度ひっくり返して履き直すだろうか? 既に一日を裏表逆に過ごしたそのパンツにとって、本当の表側とは一体どちらなのだろうか? だって本来の裏側は丸一日ずっと表側だったわけだし、今更それを元に戻して履きかえるのって、むしろ汚い気がするじゃん。新しいのに履きかえればいいとか言う理想論は良いんだよこの際。
 かように真実とは、少しだけ見方を変えると全く違った形でそこに現れるのだ。これは私が何気ない日常の狭間で実体験した出来事を元に綴られている。